高齢者の持ち家を3年間の定期借家で転貸・・・移住・住み替え支援機構
高齢者の住み替えを円滑にすることを目的に創設された有限責任中間法人「移住・住み替え支援機構」(JTI)が10月から本格稼動する。不動産業界の課題となってきた高齢者の移住促進を進める原動力となるのか、概要と仕組みを取材した。
JTIが行うのは、50歳以上の世帯の持ち家を借り上げ、30代から40代の子育て世代向けの賃貸に回すというもの。高齢者の移住支援と住宅ストックの活性化を促すことが目的だ。JTIの大垣尚司代表理事(立命大学教授)は制度についてこう話す。
「高齢者専用賃貸住宅制度がスタートするなど、シニア住宅のマーケットは拡大しています。しかし実際に高齢者が移住するとなると、持ち家をどうするかという問題が出てきます。それを解決するための制度としてJTIは設立されました。特に戸建て住宅は、貸し手、借り手ともに需要があると思います」
国からの基金5億円と賃料の約2割をJTIが積み立てて、空室保証の原資とする。
「借り上げ賃料は市場水準よりも低めになりますが、原則として利用者が亡くなるまで終身で保証します。次世代の子育て支援ということも含め、理解を求めています。制度上は入居者を子持ちの世帯に限定していません。都心の戸建てを数人でシェアするという借り方もあるでしょう」
所有者から借り上げるときと、入居者に転貸するときは、いずれも期間3年の定期借家契約になる予定。また利益追求を目的としないため、転貸先から敷金や礼金は徴収しない方針だ。現在、ハウスメーカーをはじめ、鉄道会社、金融機関、サブリース会社など合計11社が協賛企業として支援機構に参加している。
今後は、制度内容の周知をはかり、制度内容を理解する協賛企業を増やしていく。JTIの借り上げ制度の利用者に対してアドバイスをする専門家の育成なども行う予定。本格稼働する10月から6カ月間で、約100件の成約を見込んでいる。
「制度を理解した上で、ビジネスの文脈の中で活用してほしい」(大垣代表理事)
またJTIでは、制度を活用した住みかえ型リバースモーゲージの開発を金融機関と進めている。2007年に団塊世代の定年退職はピークを迎え、郊外から都心部へ、または都心部から地方への移住を希望する声がますます増えるとみられる。そうした移住を円滑化し、賃貸住宅市場を活性化する試みとして、JTIの今後の活動が注目される。(9月11日号)

