三大都市の地価上昇でファンドに陰り
国土交通省が発表した平成18年の基準地価によると、東京、名古屋、大阪の3大都市の地価が16年ぶりに上昇。都心部の地価の過熱感が増していることが明らかになった。
「都心部では、ファンドバブルが限界に達しているように感じる。ファンド側は物件を買いたくても買えない状況になっているようだ」
不動産鑑定士の平澤春樹氏は、首都圏の不動産市場についてこう話す。
国土交通省が発表した都道府県地価調査(7月1日時点)によると、東京都は全体で4・7%上昇、商業地6・7%上昇、住宅地3・5%上昇となった。
全国的に見てみても、東京、名古屋、大阪の3大都市圏が16年ぶりに上昇し、全国的にも下落幅が昨年よりも小幅になった。
地価上昇が著しい都心部については、限界に近いという見方が多い。
「かつて外資の不動産ファンドが不良債権化した不動産をバルクで購入した。それらがこれまでに数回にわたって転売されている。売却のたびにキャピタルが上乗せされるので、転売物件はもはや限界に近いところまで価格が上昇している。不動産ファンドとてうかつに手を出せない状況。ファンドが借り入れの際に利用することの多いノンリコースローンの申し込み情報を聞いてみても、6月から8月にかけて、徐々に申し込み件数が減少してきているという」(平澤氏)
平澤氏は、今後は不動産ファンドの投資対象は物流施設やシニア住宅などの分野へと移っていくのではないか、と話す。投資対象物件の用途はさらなる広がりをみせるというわけだ。
上昇し続ける地価に対して、賃料はどのような動きを見せているのだろうか。東京都心部の市場動向にくわしいケン不動産投資顧問(東京都港区)の松本敬子課長はこう話す。
「六本木ヒルズをはじめ、人気の高い一部の高級賃貸物件の賃料は、昨年から1割程度上っています。また、都心の一等地では、住居であっても坪賃料3万円前後の高額賃料帯の物件が企画されています」
関西圏もまた、首都圏と非常に似た状況に達しているという。
「昨年後半あたりから、ファンドマネーが急激に地方に分散し始めました。その5割強は関西圏に落とされたのではないかといわれています。一挙に投下資金が集中したことで、都心部の、特に商業地の地価が急激に上昇しています。北区、中央区、福島区、西区、浪速区、天王寺区の大阪6区と京都市、神戸市が特に上昇しました」
難波不動産鑑定(大阪府大阪市)の難波里美社長は関西の不動産市場についてこう話す。
「今後は、公示ベースでは上昇の余地がありますが、ファンドの短期転売が急増しているので、実勢価格は来年あたりには調整局面に入ると見ています。一方で、実需がないエリアは厳しい状況が続くでしょう」
首都圏、近畿圏に共通しているのは、都心部への人口流入。一方で人口流出の激しい郊外では地下が下げ止まる傾向が見えていない。(9月25日号)

