不動産業界に広がる暴力団排除の動き・・・都市再生機構
都市再生機構(神奈川県横浜市)は、入居の際の賃貸契約書に暴力団組員の入居を制限する「暴力団排除条項」を盛り込むことを決めた。暴力団と住民とのトラブルや抗争事件などを未然に防ぐのが目的で、平成19年1月4日の契約分から適用する。暴力団排除の流れが全国的なものになりつつある。
契約後の発覚は催告なしで解除可能
新たな条項には、契約者本人とその同居人が暴力団員でないこととする条件が盛り込まれている。また、入居後に暴力団員であることが判明した場合には、催告なしに契約を解除することができることも定めている。従来の契約条項では暴力団関係者の使用が疑われるときでも事実上打つ手がなかったが、新条項導入により積極的な入居拒否、退去運動が可能になる。来年1月4日の施行に先立ち、今年12月1日より暴力団員は同機構が扱う賃貸住宅への入居資格がない旨の事前告知を、ポスターおよび周知ビラなどにより行う。
むろん暴力団員であることを隠して入居しようとするケースも想定される。対応策を都市再生機構広報に聞いた。
「すべての入居希望者を事前にチェックするのは困難なため、言動や風体から暴力団員と疑わしい場合に警察に照会するほか、入居後に住民からの情報などで暴力団員であることが判明した場合には契約を解除します。また、過去に契約違反などで退去させた暴力団員の情報をデータベース化して共有し、再入居の申し込みの際に検索することができる『再入居防止システム』の導入も進めています」
広島・福岡は先がけて導入
すでに入居している暴力団員については、従来の賃貸借契約に効力があるため新条項の対象外となる。しかし、家賃を滞納したり、部屋を組の事務所として使用したりするなど、従来の契約条項でも違反とされる行為が発覚した場合には積極的に退去を求めていく方針だ。また、賃貸住宅管理業務を担う財団法人住宅管理協会および日本総合住生活株式会社と連携して「暴力団等排除対策協議会(仮称)」を結成し、警察当局などの関係者の支援協力を得ながら、暴力団追放運動に参画することも決定している。
今回、都市再生機構が定めたこの「暴力団排除条項」に類するものは、地方の自治体ではすでに導入が進んでいる。広島県では2004年6月に「県営住宅設置及び管理条例」を改正し、入居資格を「本人と同居親族が暴力団対策法に規定する暴力団員でないこと」と定めている。福岡でも今年11月20日、福岡県住宅供給公社と福岡県警が、暴力団組員を公社の賃貸住宅から排除することを規定した覚書を締結している。このほかにも徳島市、岡山市などの自治体にも暴力団排除条項の導入例がある。
都市再生機構もかねてから条項の導入が検討されていたが、今年3月、東京都墨田区の同機構のマンション一室が組事務所になり、機構側が明け渡し訴訟を起こした末に暴力団幹部を退去させた実例が新条項規定の決定的な呼び水になった。
約77万戸という大量物件を抱える同機構の方針が出たことで、同様の条項が全国の自治体に波及し、暴力団員追放の流れがさらに加速する可能性が出てきた。(12月4日号)

