所有権保存登記
所有権保存登記(しょゆうけんほぞんとうき)とは登記の態様の1つで、表題部にしか登記がない不動産につき、初めてする所有権の登記である。申請や嘱託による場合のほか、職権で登記される場合もある。
登記事項
* 絶対的登記事項
登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号、登記原因及びその日付、登記名義人の氏名又は名称及び住所並びに不動産が共有の場合は持分(以上不動産登記法59条1号ないし4号)、順位番号(不動産登記法59条8号、不動産登記令2条8号、不動産登記規則1条1号・同147条1項及び3項)である。ただし、登記原因及びその日付については、敷地権付き区分建物について不動産登記法74条2項の規定により登記する場合のみ登記事項となる(不動産登記法76条1項)。
* 相対的登記事項
代位申請によって登記した場合における、代位者の氏名又は名称及び住所並びに代位原因である(不動産登記法59 条7号)。共有物分割禁止の定め(不動産登記法59条6号)については、権利の一部の移転の登記を申請する場合において当該定めを一括して申請することができるという旧不動産登記法39条の2の趣旨などから、所有権保存登記の登記事項とすることはできないとする説と、当該規定が現行法上存在しないことなどから、登記事項とすることができるという説(登記インターネット66-148頁等)に分かれている。
申請権者
* 区分建物以外
表題部所有者又はその相続人その他の一般承継人、所有権を有することが確定判決によって確認された者、土地収用法などに基づく収用によって所有権を取得した者、である(不動産登記法74条1項)。
* 区分建物
区分建物以外の場合の適格者に加えて、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請をすることができる(不動産登記法74条2項前段)。
申請人に関する論点
* 保存行為
共有者の一部の者から所有権保存登記の申請はできるが、この場合共有者全員分についてしなければならない(明治33年10月2日民刑1413号回答)。すなわち、共有者の持分のみの所有権保存登記の申請はできない。
* 死者名義
被相続人が生前に売却した未登記の不動産につき、所有権移転登記の前提として相続人が被相続人(死者)名義の所有権保存登記を申請することができる(昭和32年10月18日民甲1953号通達等)。
* 表題登記すらない場合
表題登記がない不動産を取得した者は表題登記を申請できる(不動産登記法36 条、同47条1項)。よって、例えば表題登記がないA所有の不動産をBが購入した場合、Bは表題登記をした後B名義で所有権保存登記を申請できる。これに対し、A名義で表題登記のみされている不動産をBが購入した場合、B名義で所有権保存登記を申請することはできない(不動産登記法74条1項1号)。
判決に関する論点
* 種類
不動産登記法74条1項2号は「所有権を有することが確定判決によって確認された者」と規定されている。すなわち、確認判決や形成判決でもよい(大判大正15年6月23日)。また、判決理由中で所有権が確認されていれば足りる(平成10年3月20日民三552号通知等)。
不動産登記法63条1項の判決と同様に、確定判決と同一の効力を有する和解調書や認諾調書(民事訴訟法267条)なども本条の判決に含まれる(不動産登記令別表28項添付情報ロ参照)。
* 被告
表題部所有者が数人いる場合に申請書に添付すべき判決は、その全員を被告とするものでなければならない(平成10年3月20日民三552号通知)。
登録免許税
登録免許税は申請情報の一つである(不動産登記規則189条前段)。敷地権付き区分建物か否かで算出方法が異なる。なお、端数処理など算出方法の通則については不動産登記#登録免許税を参照。
* 敷地権付き区分建物以外の場合
不動産の価額の1,000分の4である(登録免許税法別表第1-1(1))。
* 敷地権付き区分建物の場合
建物については不動産の価額の1,000分の4である(登録免許税法別表第1-1(1))。これに加えて敷地権の移転分も加算する。敷地権が所有権である場合、敷地権たる不動産の持分の価額に1000分の20を乗じた額であり(登録免許税法10条2項、同別表第1-1(2)ハ)、敷地権が賃借権である場合、敷地権たる不動産の持分の価額に1000分の10を乗じた額である(登録免許税法10条3項・2項、同別表第1-1(3)ニ)。加算の際の端数処理については、土地及び建物の各課税標準金額に所定の各税率を乗じて計算した額を合算した後、国税通則法119条1項の規定により端数処理をすべきである(平成9年1月29日民三153号通知)。その他の算出方法の通則については不動産登記#登録免許税を参照。
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